ホーム > コラム > 季節の変わり目に、温まる食卓を 〜くらしの中で生きる命薬(ぬちぐすい)〜

季節の変わり目に、温まる食卓を
〜くらしの中で生きる命薬(ぬちぐすい)〜

季節の変わり目に、温まる食卓を 〜くらしの中で生きる命薬(ぬちぐすい)〜

料理・写真・文/澤則子

暑かった夏も終盤を迎え、だんだんと日が沈むのも早くなってきましたね。朝晩もだいぶ涼しくなり、時には肌寒さを感じる地域もあるでしょう。日差しもだいぶ和らいでくる頃ですが、ここ沖縄では※アコークローと言って、昼から夜へ移るたそがれ時に、とても美しい赤と黒のグラデーションが空を彩ります。


沖縄では 美味しく滋味豊かであり体が喜ぶものを「※ぬちぐすい(命の薬)」と言います。医食同源の考えが色濃く残る、ここ沖縄の食の智慧は、暮らしの中で現代にも息づいています。



マース(塩)で塩漬けした豚三枚肉のスーチカー。保存食として知られる。

古くから残る伝統技法で作られた器(やちむん)に乗せた、沖縄で丁寧に作られた食材を使ったお料理をいただくとき、そんな ぬちぐすいを実感できる気がします。

季節の変わり目にさしかかり、暑い夏場にエアコンの風を浴びた体は、想像以上にとても冷えています。シャワーだけではなく温浴したり、温める効果のある食べ物を採ったりしながら、積極的に体を温める工夫をすることで冬場に風邪知らずの体を作ります。


おにぎりとスープ(ぬちまーす)

いちにちの始まりに ぬちまーすで握ったおにぎりとスパイスたっぷりの温かいスープ。適度な塩分は、体を温め免疫力をアップする効果があると言われています。モロヘイヤのスープにはクミンやガラムマサラ等を入れてスパイシーに。モロヘイヤのとろみとスパイスのW効果で朝から体がポカポカしてきます。

盛り付けにはコバルトのお皿で。7寸のお皿はひとり分の朝食に使いやすい大きさです。


雑誌と紅茶(横に添えられた黒糖しょうがパウダー

いちにちのリラックスタイムには、沖縄県産の黒糖と国産のしょうがが入ったパウダーを入れた紅茶を。普段飲んでいる紅茶に加えるだけで、香りも温め効果も抜群です。緑釉のフリーカップは普段使いのできる、おすすめの器です。

忙しい日々の中にも、体を温める食事でほっとできる時間があれば、寒くなる季節も元気を保てそうですね。ぬちぐすいを取り入れた、こころ癒される、いつもより少しだけ丁寧な暮らしを、沖縄のうつわを使ってはじめてみませんか?


【注釈】
※アコークロー:赤(昼)と黒(夜)の境界線のたそがれ時の空をさす言葉。

※ぬちぐすい(命薬):食べて元気の出る、とても美味しい食べ物や飲み物のこと。食べ物だけでなく、美しい景色や音楽など、心が癒されるものすべてをさすこともある。


■■ 今月のかんたんレシピ ■■


■ 【 モロヘイヤのスパイスたっぷりクリームスープ 】 ■

[ 材料 ]
・にんにく(みじん切り)一片
・オリーブ油 適宜
・クミンシード
・ドライオレガノ
・オールスパイス
上記スパイス各一振り
・モロヘイヤ(葉と茎を分け、葉だけを使用)1/2束
・塩 適宜
・水 50cc
・牛乳50~100cc

[ 作り方 ]
① 鍋ににんにくとスパイスを入れ、香りが出るまで炒める。そこへモロヘイヤを加えて炒めて水を入れ煮立ったら火を止める。
② 粗熱が取れたらミキサーにかけてなめらかにする。
③ 鍋に戻し、牛乳を加え弱火で5分ほど煮て塩こしょうで味をととのえて出来上がり。


澤則子
フードクリエイティブディレクター

デザイン業界と飲食業界での様々な経験を生かし、調理、スタイリング、撮影、デザインまで、トータルに担当。料理と心の師匠は母。沖縄の器であるやちむんと琉球料理をこよなく愛し、読谷村〜壺屋で暮らす。